leaf
leaf
leaf
now loading
BG
BG
愛を、信じる

枯れ葉

billing
2023年12月15日(金)よりユーロスペースほか全国ロードショー
billing

news
news

dog
bg

news
news

Introduction

突然の監督引退宣言から6年。最高のラブストーリーとともに、アキ・カウリスマキが帰ってきた!

2017年、『希望のかなた』のプロモーション中に監督引退宣言をし、世界中のファンを悲嘆に暮れさせたアキ・カウリスマキ。それから6年、監督カウリスマキはあっけらかんと私たちの前に帰ってきた。可笑しみと切実さに満ちた、最高のラブストーリーを連れて。
新作『枯れ葉』の主人公は、孤独さを抱えながら生きる女と男。ヘルシンキの街で、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか? いくつもの回り道を経て、物語はカウリスマキ流の最高のハッピーエンドにたどりつく。

ノスタルジックな風景と多様な音楽、とぼけたユーモア、溢れ出る映画愛。悲痛な現実のなかで、それでも「愛」を信じつづけるために。

労働者3部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、ギリギリの生活を送りながらも、生きる喜びと人間としての誇りを失わずにいる労働者たちの日常が描かれる。
抑制された画面の中に映るノスタルジックなヘルシンキの風景、バンド演奏からカラオケまで自由自在な音楽の使い方、随所に散りばめられたとぼけたユーモア。また劇中には、主人公たちが初めてのデートで見に行く映画として、盟友ジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』が大胆に引用され、ゴダールやブレッソンの名前も登場。画面から溢れでる映画愛に、誰もがにやりと笑ってしまうはず。一方で、登場人物たちの横ではつねにロシアによるウクライナ侵攻のニュースが流れ、いま、私たちが生きる悲痛な現実を映し出そうとする意志が感じられる。カウリスマキ映画のなかでもかつてないほどまっすぐな愛の物語となった本作は、戦争や暴力がはびこる世の中で、それでもたったひとつの愛を信じつづける恋人たちの姿を通して、今を生きる希望を与えてくれる。

『TOVE/トーベ』のアルマ・ポウスティと、ユッシ・ヴァタネンのW主演。悲劇と喜劇の間をさまよい歩く、現代の恋のおとぎ話。

互いの名前も、電話番号も知らないまま恋に落ち、運命に振り回されながら想いを成就させようとする恋人たちを演じるのは、カウリスマキ映画には初出演となる二人。『TOVE/トーベ』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じ大きな注目を集めたアルマ・ポウスティと、『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』で高い評価を得たユッシ・ヴァタネン。
アルマ・ポウスティは、職場での理不尽な扱いに抗い、恋人の悪癖をきっぱりと諌める強さを持った現代の女性像を演じ、新しいカウリスマキ映画のヒロイン像を提示。ユッシ・ヴァタネンは、酒浸りで周囲を心配させながらも、どこか憎めない男の役をユーモアを交えて演じている。それぞれの友人役として、ヤンネ・ヒューティアイネン(『街のあかり』『希望のかなた』)、ヌップ・コイヴ(『希望のかなた』)が出演、そしてカウリスマキ映画には欠かせない名優“犬”の登場も忘れてはいけない。

dog
dog
dog
dog
dog
bg

アキ・カウリスマキ監督からのメッセージ

取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。

この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です。

アキ・カウリスマキ

アキ・カウリスマキ監督

アキ・カウリスマキ監督

1957年4月4日フィンランド、オリマティラ生まれ。大学でコミュニケーション論を学ぶ。映画評論家としてキャリアをスタートさせるが、評論だけにはとどまらずシナリオ作家、俳優、助監督など数々の仕事に携わる。1981年には兄のミカとともに制作会社<ヴィレアルファ>、1986年にミッドナイトサン映画祭、1987年に配給会社<センソ・フィルム>を立ち上げる。またヘルシンキ中心部で<コロナ・バー><カフェ・モスクワ>というバーが併設された映画館<アンドラ>も運営していたが2019年に閉館。2021年、ヘルシンキ北西の小さな町カルッキラに映画館<キノ・ライカ>を友人とともにオープンさせた。
1983年に初長編監督作品『罪と罰』を発表。86年には『パラダイスの夕暮れ』がカンヌ映画祭監督週間をはじめ各国の映画祭に招待され、世界の映画人の注目を集める。日本では90年に『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』で注目されて以降、全ての監督作が公開され、とりわけ『浮き雲』、『過去のない男』、『ル・アーヴルの靴みがき』などは大ヒットを記録した。新作公開の度に熱狂的なファンを増やし続けている。

CAST

CAST

アルマ・ポウスティ Alma Pöysti (アンサ)
アルマ・ポウスティ Alma Pöysti (アンサ)

1981年生まれ。2007年にヘルシンキ大学シアター・アカデミーで修士号を取得。以降、北欧諸国の多くの有名な舞台に立つほか映像作品にも出演し幅広い活動を続けてきた。2020年『TOVE/トーベ』(ザイダ・バリルート監督)で主演を演じ映画俳優としてブレーク、この役でフィンランドのアカデミー賞にあたるユッシ賞で主演女優賞を獲得する。TVドラマ「Helsinki Crimes」、「Blackwater」や2023年ヨーテボリ映画祭で主演女優賞を受賞した映画『4人の小さな大人たち』など数々の北欧の映画やTVドラマに出演。『枯れ葉』に続く出演作としてファレス・ファレス監督『A Day and a Half』(主演)、ピルヨ・ホンカサロ監督『Oreda』が控えている。

ユッシ・ヴァタネン Jussi Vatanen (ホラッパ)
ユッシ・ヴァタネン Jussi Vatanen (ホラッパ)

1978年生まれ。フィンランドで最も有名な俳優の一人。主演した2010年の『ラップランド・オデッセイ』(ドメ・カルコスキ監督)で一躍有名となり、同作品は2本の続編が作られた。以降、数多くの映画やTVで着実なキャリアを築いている。代表作にフィンランドで史上最高の興収を記録した『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』(2017年、アク・ロウヒミエス監督)、『Dark Corners』(2021年、リチャード・パリー監督)の‟Zaney“役、ユッシ賞最優秀男優賞にノミネートされた2020年の『フォレスト・ジャイアント』(ヴィレ・ヤンケリ監督)がある。その他の近作にカンヌシリーズのコンペに出品された犯罪ドラマ「Man in Room 301」(2019年)の主演、スリラー映画『The Man Who Died』(2022年)の主演などがある。

MAUSTETYTÖT(マウステテュトット)
MAUSTETYTÖT(マウステテュトット)

フィンランドのヴァーラ出身、ヘルシンキ在住のアンナ・カルヤライネン(ギター)とカイサ・カルヤライネン(キーボード)姉妹からなるポップ・デュオ。バンド名MAUSTETYTÖTはフィンランド語で「スパイス・ガールズ」の意味をもつ。2019年2月にリリースしたファースト・シングル「Tein kai lottorivini väärin(宝くじを外した気がする)」が1か月でYouTubeの再生数219,000回、Spotifyの再生数245,000回を記録し話題になる。翌10月にファースト・アルバム「Kaikki tiet vievät Peltolaan(すべての道はペルトラへ続く)」を発表。2020年に発表したセカンド・アルバム「Eivät enkelitkään ilman siipiä lennä(翼がなければ天使も飛べない)」はフィンランドのチャートで第2位を記録。同年、フィンランドのグラミー賞といわれるエンマ・ガーラでロック・オブ・ザ・イヤー、バンド・オブ・ザ・イヤーの2冠に輝いた。2023年3月に3枚目のアルバム「Maailman onnellisin kansa (世界で最も幸せな国民)」をリリースした。

MUSIC
Jukebox
♪
Jukebox

Jukebox

「竹田の子守唄」
作者不詳
演奏:篠原敏武
「GET ON」
作詞・作曲:レム・アールトネン、クリスター・ハッキネン、アルバート・ヤルビネン
演奏:THE HURRIGANES
カラオケヴァージョン歌:トニ・バックマン
「SYYSPIHLAJAN ALLA」
(秋のナナカマドの木の下で)
作曲:アルヴォ・コスキマー 作詞:ヴェイッコ・ヴィルマヨキ
歌:ヤンネ・フーティアイネン
「セレナーデ」
(「白鳥の歌」D957/965a 第四曲)
作曲:フランツ・シューベルト、作詞:ルートヴィヒ・レルシュタープ
歌:ミカ・ニカンデル
「マンボ・イタリアーノ」
作曲・作詞:ボブ・メリル フィンランド語作詞:オラヴィ・リンナス
演奏:オラヴィ・ヴィルタ
「交響曲第6番ロ短調「悲愴」」
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
指揮:エフゲニー・ムラヴィンスキー
演奏:レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
「デッド・ドント・ダイ」
作曲:ジム・ジャームッシュ、カーター・ローガン
演奏:SQÜRL
「ETKÖ USKALLA MUA RAKASTAA」
(私を愛する勇気はあるの?)
作曲:エリック・リンドストローム、作詞:Saukki
演奏:ヘレナ・シルタネン
「AAMUÖISEEN SATEESEEN」
(夜明け前の雨)
作詞・作曲:ゴードン・ライトフット フィンランド語作詞:ラウリ・コヨ
ラウリ・バッディング・ソメルヨキ
「KYLMÄ RAKKAUS」
(冷たい愛)
作曲:エリック・リンドストローム 作詞:ラウニ・コウタ
演奏:オラヴィ・ヴィルタ
「SYNTYNYT SURUUN, PUETTU PETTYMYKSIN」
(悲しみに生まれ、失望を身にまとう)
作詞・作曲:Maustetytöt
MAUSTETYTÖT
「ARPISET HAAVAT」
(傷だらけ)
作詞・作曲:ハンネス・コンノ
ラウリ・バッディング・ソメルヨキ
「KUOLLEET LEHDET」
(枯葉)
作詞:ジャック・プレヴェール 作曲:ジョセフ・コズマ
フィンランド語詞:クレルヴォ
演奏:オラヴィ・ヴィルタ
bg

Comments

(50音順・敬称略)
人間てなんてバカな生き物なんだろうという現実の中、
それでもやっぱり人間て美しいよなあ、それは俺も含めなんだよなあ。
と、カウリスマキ監督の作品を観たらいつも自己肯定感が爆上がりして活力がみなぎる。今回も。
足立紳(脚本家・映画監督)
アキ・カウリスマキの新作を観ることは、現在の世界の映画界ではめったにできない、真の宝物です。
カウリスマキの映画を見るという経験を逃すべきではありません。
カウリスマキは詩人であり、独創的で、独特のユーモアと魅力を持った映画監督です。
彼の作品は、小津安二郎、ロベール・ブレッソン、ルイス・ブニュエル、映画史に残る偉大な映画作家の作品と肩を並べることができるでしょう。
アミール・ナデリ(映画監督)
わたしたちの希望は枯葉のようにとても軽く、ささやかな日々の幸福は奪われやすい。
今も続く戦禍に胸をいため、自分には何ができるんだろうと考える。
だから隣の人と手を繋ぐ、小さな抵抗のために。
植本一子(写真家)
ユーモアと悲哀がたゆたう物語を運ぶ映像が、現代の社会を描きながら古い時代の絵画のように美しく懐かしいのは、恋する不器用な二人を通じて、誰のなかにもあるみじめさや挫折もひっくるめて人間を抱擁し肯定しようとするカウリスマキの愛ゆえなのだ。
小野正嗣(作家、フランス文学者)
こんなに優しい映画に巡り会ったのは何時以来だろう。世の中は悲惨だし救いようがないし、人々はみんな不器用で壊れていてどうしようもない。でも人々の心の中には力と優しさがたっぷりとあって、それは様々な音楽が饒舌に物語ってくれている。犬もいる。アンサがちょっとだけ笑う。だからきっと大丈夫。
小野瀬 雅生(クレイジーケンバンド ギタリスト)
生活困窮者を救って店をクビになった女とアルコール依存の男のもどかしい関係。電話番号を渡すが使われない。次に住所、最後にようやく名前を知るふたり。スーパーで買う安い皿、もてなしのための小さなボトル、町の花屋の出来合いのブーケ……。つましい生活の背後にはあの侵略戦がある。不器用で繊細な「距離感」の映画だ。そこかしこにカウリスマキの映画愛が溢れ出している。
鴻巣友季子(翻訳家/文芸評論家)
「働き、生きよう。どんなに孤独でも、いつか出会う同じ魂も、この暗闇を生きている。」
そんな余韻を感じた、フィンランドの愛と孤独の無表情ロマンス。
どうしようもなく痛く困難な人生で、愛がもたらす希望を最低限の会話と美しい音楽で描き切る。
そのミニマルさが観る人の感情が入り込む余地を作り出し、きっと一人ひとりに異なる余韻を残す。
週末北欧部 chika
生活に困窮しながらも、アンサとホラッパの日常には音楽や衣服といった文化が存在する。そんなささやかで豊かな事実に、何度もハッとさせられた。
*フィガロジャポン2024年1月号より抜粋
岨手由貴子(映画監督)
世界がおかしな方向に行こうとしてる時にカウリスマキは帰ってくる。
あの独特の悲哀と、可笑しみを携え、溢れる映画愛をちりばめて。真実とは、喜びとは何なのかを問われながらも、心が軽やかになるのです。
高橋ヨーコ(写真家)
この監督の作品のなかでだけ捉えられる人間の佇まいがある。
強い意志や意味のないまま、まるでただ死の反対側にあるだけのような生が続いてしまうとしても、続いていくことで人生は必ず美しくなってしまうものなのだ。
滝口悠生(小説家)
切れそうな糸を、それでもまっすぐ伸ばそうとする。
その脆さと強さに引き込まれた。
武田砂鉄(ライター)
ふとした所で出逢い、不運にもすれ違い、なぜか惹かれ合う2人。
描かれていること自体はとてもシンプルで無駄なものが一つもない。独特な空気と流れる時間、そして印象的な色彩描写が脳と心をじんわりと温めてくれる。
映画という芸術の愛おしい部分を再確認させてくれる至福の81分。
中田クルミ(俳優)
連日ラジオから淡々と流れるウクライナの絶望的なニュースを背景に、
運に恵まれない2人の話が鮮やかな色彩と美しい画面構成で展開します。
最後の小さな希望には思わず感動しました。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
滑りを繰り返す曇天の現代。
どこか乗り物は全て宙に浮いているようで、地に足がつかない浮遊した社会をそこに見る。
労働と移動を繰り返す毎日に、音楽や映画は一瞬の足止めを与える。 「また明日」
また明日がやってくる安堵と共に、どんな闇にも木漏れ日が差す事を 枯れ葉は知らせてくれる。
何よりアキ・カウリスマキがまた映画を撮ってくれたことが只々嬉しい。
甫木元空(映画監督、ミュージシャン)
劇中のラジオから流れる戦争は妙に現実味がない。監督はそう云う「無意味でバカげた」ものにリアリティなど与えない。一方、主人公たちのいる世界の不思議に作り物っぽい描写はむしろ、嘘でも現実でもない「映画それ自体」を現出させる。私たちがそれに見入る時、主人公たちのストーリーに加えて、監督や、更には映画「たち」まで、一つの運動体として体験する。
山口晃(画家)
たっぷりのユーモアとわずかな表情の機微の積み重ねで、最大級の「シネマ」へ昇華された世界。ポジティブなオーラに包まれた全てのショットは、どの瞬間も美しく、直球で心に沁みる。カウリスマキの老練な「真の花」によって、私の心に花が開いた。世の中は少しも良くならないが、前向きに生きるしかない。
山村浩二(アニメーション作家)
優しく美しいラブストーリー
ニューヨーク・タイムズ
カウリスマキ史上最高にロマンチックな映画
AWARD WATCH
塵の中で輝く宝石
ハリウッド・レポーター
現代社会の闇に灯りをともす、美しい映画への賛歌
INDIE WIRE
絶対にこの映画を好きになる
ロサンゼルス・タイムズ